2014年に改正された労働安全衛生法
現代の日本は労働に関する法律が変化していくことが多く、その中でも大きな変革があったのは2014年になります。
この年は労働者の安全と衛生に関しての基準となっている労働安全衛生法が大きく変わり、2018年4月からは5年間を計画期間とする『第13次労働災害防止計画』によってさらなる変革が行われることが期待されています。
しかし、この労働安全衛生法はストレスチェックなどの新たな制度を設け、働く人たちの健康を守るために重要な法律ではありますが、労働基準法と比べると知名度が低く良くわからない人も多いというのが実状となっているのです。
今回はこの労働安全衛生法とはそもそも何なのか、どのような歴史をたどったのかを記載してまいります。
労働安全衛生法とはそもそも何?
そもそも、労働安全衛生法とは労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律です。
この法律は職場における労働者が少しでも安心できる職場環境を形成しやすくすることを目的とし、労働災害を少しでも減らすことも目標としています。
当時の日本は猛烈な勢いで産業も経済も発展し続けましたが、その背景には多くの労働者が労働災害を顧みない労働状況にあり、問題点だらけでした。
これらの労働環境における問題点を解決すべく、1972年に労働基準法の枠組みであった『安全及び衛生』の規定が分離し新たな法として定められるという形で誕生したのです。
会社における事業場内への安全衛生責任体制を明確化し安全衛生における管理体制を構築することで、労働者を健康被害や労働災害から守れる体制を作って、機械や危険物などに関する規制を設けることも狙いとなっています。
労働基準法に考え方が似ている部分があるのは、もともとが労働基準法の一部だったためという歴史があります。
労働安全衛生法の歴史を掘り下げる
1972年に労働基準法から分かれる形で誕生した労働安全衛生法はだいたい5年から10年のスパンで大きな変革が発生しています。
誕生した1972年の5年後にまず『労働安全衛生法及びじん肺法の一部を改正する法律』が誕生します。
そしてその年に新規化学物質を製造又は輸入しようとする事業者に対して厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査を行い大臣に届け出ることが義務化します。
次に大きな変化があったのは1980年です。
この年は労働安全衛生法の一部を改正する法律が発令され労働災害防止の措置を義務付けるといった様々な現場に即した義務付けが発生します。
その次の変化は1988年です。
この年は使用する機械の安全化のための措置や安全衛生推進者の選任の義務付けなどが法律化され、安全管理などの教育も義務とされていきます。
次は1992年でこの年は注文者から請負人に対する違法な指示を禁止するなどの具体的な指示や快適な職場環境を形成における努力を義務化するという今までにない動きがありました。
次の1996年には健康診断にまつわる法律が変わり、1999年には深夜業に従事する人向けの改定があります。
2005年には長時間労働者への医師による面接指導が義務化され、2014年にストレスチェックの実施を義務付けが始まるのです。
最後に2019年には産業医と産業保健機能の強化することでより働きやすい環境に変化することを促しています。
今後について
2019年の改定は労働者の健康管理にまつわる問題点を重視していました。
これからの改定でも予想されているのは労働者の健康管理及び労働環境にまつわる見直しで、職場の環境改善をより意識した改訂が行われていくことが予想されています。