協働ロボットの安全規格ISO10218とは
ISO10218は、産業用ロボットおよびそのシステムに関する国際的な安全規格であり、日本国内においてはJIS B 8433として規定されています。この規格は、ロボット単体の安全要件を定める第一部と、ロボットシステムの安全要件を定める第二部の二つで構成されています。
特に近年注目を集めているのが、二〇二五年の規格改訂に伴う変更点です。これまでは技術仕様書であるISO/TS 15066として独立して存在していた協働ロボット特有の厳格な安全要件が、正式にISO10218へと統合されました。これにより、人とロボットが同じ空間で作業を行う協働ロボットシステムの設計や運用において、より明確で国際的に統一された安全基準が適用されることとなり、製造現場における安全性の向上が期待されています。
ISO10218における主要な要求事項
ISO10218において、安全を確保するために最も重要視されているのが、リスクアセスメントの確実な実施です。システム導入前に潜在的な危険性を評価し、適切な対策を講じることが義務付けられています。
さらに、協働ロボット特有の安全要件として、主に三つの手法が規定されています。具体的には、人が直接ロボットを操作する「ハンドガイド」、人とロボットの距離に応じて速度を制御する「速度及び間隔の監視」、そして接触時の力や圧力を安全なレベルに抑える「動力及び力制限」です。
協働ロボットを安全に運用するためには、これらの保護方策のうち、少なくとも一つ以上の要件を確実に満たすようシステムを設計する必要があります。
規格適合による協働ロボット導入のメリット
ISO10218の厳格な安全要件を満たすことで得られる最大のメリットは、従来型の産業用ロボットでは必須とされていた物理的な安全柵の設置が不要になる点です。安全柵が不要になることにより、限られた工場内の作業スペースを有効に活用できるだけでなく、生産ラインの変更に伴う柔軟なレイアウト変更も容易に実現可能となります。
また、人とロボットが同じ空間で協調して作業を行えるため、これまで人が担っていた重量物の運搬や単調な繰り返し作業などの重労働をロボットに代替させることができます。結果として、作業者の身体的負担を大幅に軽減するとともに、工場全体の生産性および作業効率の飛躍的な向上が図れます。安全規格の遵守は、安全確保だけでなく、現場の競争力強化に直結する重要な要素となります。

