ASILとは
ASILは『Automotive Safety Integrity Level』つまり『自動車安全水準』のことであり、ISO 26262規格で定義されているリスク分類システムのことです。
また、このASILは道路を走行する車の機能安全に関する安全水準であり、最大のポイントがこの機能安全の捉え方となっています。
ASILにおける機能安全とは『機能的に安全を確保するための機能を組み込み許容できるまでのレベルの安全を確保すること』であり、電機や電子システムの機能不全が発生した場合に発生してしまう危害発生の重さからA・B・C・Dと4段階にカテゴリー分けをしています。
もっとわかりやすく説明すると故障してしまうことで高いリスクが発生してしまうブレーキやエアバッグなどはASIL-Dグレードをクリアする必要があり、そこまで影響が多くないリアライトなどはASIL-Aグレードをクリアする必要があるということです。
ASILのしくみについて
ASILはトラブルが発生してしまった場合の重要度によってランク付けされる自動車安全水準のことということはわかりました。
次はこの仕組みについて細かく見ていきましょう。
このランク付けはハザード分析とリスクアセスメントによって決まりますが、それぞれの部品においてエンジニアの方々が『ドライバーや同乗者がどのような損害を受けてしまうのか』と『ドライバーによる障害回避の難易度がどうなっているのか』と『自動車がハザードに遭遇する頻度はどうなっているのか』の3つに大別して考えていくのです。
これらのステータスの評価によってASILグレードが大きく変わってきます。
実際に故障した場合に重大事故につながってしまうエアバッグやアンチロック・ブレーキやパワーステアリングなどのシステム異常が発生してしまった場合でもASIL-Dグレードをクリアする必要があるため、設計者の人たちは日夜格闘しています。
ASILがあることでのメリットは何?
ASILによってグレードが設定されることのメリットは危害を回避しやすくなることです。
何らかのトラブルや事故が発生した場合に運転手や同乗者の命を守るための取り組みとなっているため、私たちユーザー側の安全がより高められる規格となっています。
この規格を守るということはあらゆる自動車部品における質の向上も考えられますが、逆にリスク経可能範囲を設定することで安全性をどこまで求めればいいのかがはっきりするというメリットもあるのです。
安全機構の実現には何をしているの?
製品の品質を上げる以外にもこのASILを満たす方法があります。
それがたとえトラブルが発生したとしてもバックアップ機能が働くことでそちらが機能しトラブルを防いだり被害を出来る限り減らすといった機能です。
これを『冗長設計』と言います。
他にも何らかの異常が発生してしまったまたは異常による前兆を発見した場合にそれらを通知してトラブルが発生するのを防ぐ『故障検知』機能を設けることも重要になります。