鉄道システムで用いられることが多いRAMS規格とは?

安全に関する規格というのはあらゆる業界で採用されていますが、特に旅客輸送業界においては厳格な規格が必要となります。
一度に大量の人を乗せて動くもので、万が一事故が生じた場合、多人数の命に関わる問題となるからです。
また、旅客インフラは人々の日常生活や経済活動に深く関わっていますので、何か生じるとさまざまな活動に支障が生じます。

そこで、世界中で採用される安全規格としてRAMS規格というものが制定されています。
このRAMS規格は特に鉄道システムにおいて使われることを意識して制定されたもので、「鉄道RAMS」と呼ばれることもあります。
2002年の9月に「国際規格IEC 62278」として正式に発効したものです。
これはもともとイギリスの安全規格として作られましたが、内容を調整しヨーロッパ規格としてバージョンアップして制定されています。

RAMS規格は、いくつかの部分から構成されています。
メインとなる規格は、いわばRAMSの中心部分をなすもので、安全性と信頼性についての仕様と実証説明を行っています。
具体的には、鉄道などの運行が決められた条件内に決められた時間の間隔を持って稼働する確率を示す規格が記されています。

また、システムの能力についての規格もあり、電力などの稼働に必要なエネルギーを受けた場合、一定条件下でどの程度求められる機能や性能を維持できるかを示す規格も設けられています。
安全性を担保するために、特定の基準以上の危害が発生するリスクが起きないようにするための条件についても規定しています。

そして、それぞれの目標や規格を実現するためにどのようなプロセスで行い実行していくかの手順も定めています。
たとえば規格に基づく目標を作り、故障や問題についてのデータを集めること、解析をするなどの手順です。
その後、稼働についての評価をして改善を図り、その行程を監査していくプロセスまで進めていきます。

日本におけるRAMS規格への対応

日本でもヨーロッパにおいてRAMS規格が開始されたことを受け、すぐにその内容を理解するための勉強会や情報交換の場が作られました。
ヨーロッパの主要鉄道機関とのコミュニケーションを取り、日本の鉄道会社との会合を持つことで深い理解を得られるようになっていす。

2012年にはRAMS規格についての委員会が正式に立ち上げられ、国内の鉄道事業における適用が実用的なものとなるのか、どんな課題があるのかといった点を検討しています。
日本でさまざまな異なる鉄道会社が独自の基準を持っていることが多く、なかなかヨーロッパのような適用は難しいものがありますが、それぞれの会社でRAMS規格に基づく管理手法を採用するようになっています。